広帯域、低NFプリアンプの製作(HF〜マイクロ波)

広帯域の受信機、周波数カウンター、スペクトルアナライザー等で受信や測定をしていますと、もう少し感度が有ればと思うことがあります。そこで広帯域のプリアンプを製作してみました。
今回は広帯域受信機のプリアンプとして使用でき、更に電池駆動も可能なように、省電力で低電圧のLNAを製作しました。

製作に当たっては下記の目標としました。

  • 周波数:10MHz〜2500MHz
  • 利得:20dB以上
  • 電圧:3V
  • 消費電流:30mA以下
  • NF:3
今回はデバイスに、NECの最新デバイスである、「μPC2747TB」という高周波増幅ICを使いました。
このデバイスは、最新の技術で作られたシリコン・モノリシックICで、ft=20GHzのとても優れたものです。
通常は携帯電話の増幅用に使われるものですが、広帯域での性能も優秀でした。

http://www.csd-nec.com/microwave/japanese/document_j.html

サイズは非常に小さく、本体の大きさは 2.0mm×1.25mmです。2012のチップ抵抗と同じサイズで、ICの足の間隔はわずか0.65mmです。

uPC2747TB
μPC2747TB

はじめにこのICを1段アンプとして実験しましたが、1GHzで利得が12dB程度でしたので、2段構成にしました。データシートによりますと、2段構成でも消費電流は10mA程度になりそうです。実験回路は下記のようにしました。

広帯域LNA回路図
回路図


広帯域LNAパターン
基板パターン


広帯域LNA基板
基板

入出力の整合されている高周波ICですので、製作は簡単でした。12Vの電源を使える様に、レギュレーターを基板上に配置してみました。
フラットタイプの3Vレギュレーターが無かったので、78L05Fを使い、更に3Vのツェナーダイオードで3Vの電圧を得ています。
試作基板の材質にはPPEの0.6mm/18uの両面基板で製作しています。

広帯域プリアンプ試作基板
広帯域プリアンプ試作基板

写真を見て頂くと解るのですが、ICが非常に小さく見えますね、ほとんどチップコンと同じ大きさです。

周波数特性(利得)
周波数特性(利得) 10MHz-2500MHz



周波数特性をネットワークアナライザーで測定してみました。10MHz〜1200MHzまではフラットなGAIN特性で利得は25dBを得られました。入出力のリターンロス(整合)も良好でした。
NFの測定では、430MHzで3dB程度で1200MHzでも4dB程度の値が得られました。低い周波数でも3dB程度の良好な値です。
通常のMMICでは利得が有っても、消費電流が100mA以上も有ったり、NF値では6dB以上が普通ですし、ノイズレベルも高い物が多いので、これはかなり良好な値です。

●性能測定の結果
  • 周波数:5MHz〜2500MHz
  • 利得:20dB以上
  • 電圧:5V〜14V(本体:3V)
  • 消費電流:20mA以下(本体:12mA以下)
  • サイズ:15mm×25mm
実際に広帯域受信機「IC-R7000」で受信実験を行ってみました。
アンテナは簡単なロッドアンテナを屋内に設置して、FMラジオ帯、144MHz、430MHz、900MHz、1200MHzと受信をしてみましたが、効果は絶大で、微かにしか聞こえなかった受信信号が非常に良好に受信できます。
FMラジオではノイズの無い受信が出来ました。
電源には電池を使用したのですが、単3電池2本でも良好に働いていました。


   *ケースに組み込んだプリアンプ基板(単4電池 2本)


スペアナに取り付けて、色々な電波を探ってみましたが、本当に良く働いています。ノイズレベルも低いので(S/Nが良い)ので色々な機器に応用できそうです。
基板の大きさは15mm×25mmですので、切手よりも小さく機器の組み込みには最適でしょう。




●LNA2747を使った受信アンプの作り方

先程紹介しましたプリアンプの作り方を紹介します。
使いやすいようにゲインコントロールが出来るようにしました。
ゲインコントロール用にVRは500ΩのBカーブを用意してください。

・パーツリスト
品名 品番 数量 備考
 ケース SW75 タカチプラケース
 コネクター BNC−R 4穴フランジ
 コネクター BNCP−BR ネジ式
 同軸ケーブル 1.5D-2V  
 可変抵抗 500オーム Bカーブ
 LED パイロット用
 抵抗 100オーム LED用
 スライドスイッチ 1回路 電源スイッチ用
 電池ケース 単4 2本用 電池用
 つまみ VR用 VR用
 電線、ネジ類   必要数 組み立、配線用


まず、BNC-Rコネクターを加工します。
中心のテフロン(白色)と芯を写真の様にカットします。テフロンは平になるように、芯は3mm残します。



加工したコネクターに基板を写真の様に、直接ハンダ付けします。BNC−Rは入力側になりますので、基板の入力側をハンダ付けします。
LNA2747の基板は予めツェナーダイオード(RD-3)と78L05接続の100Ωの抵抗を外しておきます。



ケースにスイッチ、VR、LEDを取り付けます。



基板を付けたBNC−Rをケースにスペーサーで取り付けます。
BNCP-BRコネクターに同軸ケーブルを加工してハンダ付けします。



コネクターをケースに取り付け、同軸ケーブルを接続します。
(写真では小型の同軸コネクターを使って接続しています)
LED、VR、スイッチの配線をします。
基板をスペーサーを使い留めます。高さはワッシャーで調整します。



配線は、回路図を見ながら下記のように行います



電池ケースは単4の2本用がちょうど入ります。



完成しました。つまみを変えると感じが変わります。


●総合回路図



●ケース加工図 (タカチSW75)



2005.2.23(更新)


★ JA1FS 和田様から使用レポートを頂きました ★

昨夜アンプが着きまして使用させていただきました。

結果報告は測定器がないので使用できるハンデー機の受信比較テストとして行いました.実際使用することにより楽しめることが出来る範囲が広がる事はその付属器機の価値が確かと思われます。



前に求めたJIMローノイズワイドバンドプリアンフ(゜japann.innfomaiton medium)製M50と荒井さんのをuPC2747として報告と言うか参考になればと思い書きました。

まずこの辺(小田原市)は難視聴区域のためアイコムのICR3ではTV受像できませんたまにスケルチが開いてはいることがありますがその日の電波事情です。


写真のようにUHF36CHは本体のアンテナのみでは入りませんでした。



JIMを付けたとき見られました



LNA2747の場合安定して持続的に入りました。

●スタンダードjusinnki 受信機 AX400 で日本短波放送を聞きました。

周波数 本体のみ JIMプリアンプ LNA2747
3MHz帯 S1−S2 感度なし S1−S5
6MHz帯 S1−S3 感度なし S3−S10
9MHz帯 S1−S2 感度なし S2−S9
S1からS10まではシグナル表示
注)JIM挿入では全部聞こえなくなる。


3MHz帯(本体のみ)


3MHz帯(LNA2747プリアンプ)


周波数 本体のみ JIMプリアンプ LNA2747
433MMHz帯 S1 S3 S4
144MHz帯 S3 S10 S10
693KHz帯 S3 感度なし S2
S1からS10まではシグナル表示


1200M以上は未だ電波が受信できないので報告出来ませんが、大きな効果が見込まれると思い、
マイクロ波用トランスバーターのIF挿入として(受信感度上げ過ぎか?)も利用できると思います。
そのうち曽我山にでも持参し、ハンデー機でのテストを相手と連絡の上行いたいと思います。

いずれにしてもワイドハンデー受信機で楽しんでいる方にとって、今まで聞こえなかった見えなかったが「見える聞こえる局」が増え あらゆる用途に使用でき喜ばれる製品と確信します。
市販のJIMのようなのはV・UHFだけの物で又別の面の使い方がありますが広帯域は歓迎します。
今、電波帯はあらゆる面で、電話・ケーブルテレビ・ブースター・パソコンなど高調波などキャリヤーの妨害波があります。
特に弱電界の所は難しくなってきてますことを感じます。
JA1FS 和田聖記



回路図を新型に変更しました。今までは動作確認が出来ませんでしたが、3VのツェナーダイオードのかわりにチップLEDを使い、3Vを作っています。

広帯域LNA新型回路図
新型回路図



基板が出来上がりました、配布を致します。

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2007.3.7(更新)



購入はコスモウェーブ・オンラインショップ




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